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千人針

パンデミックの影響で、4月以降の展覧会や講演がすべて延期かキャンセルになってしまった。「自粛」のため親しい友だちにも会えない暮らしはさみしいが(それにしてもなぜ「自粛」なのか?自粛はふつう、なにか罪滅ぼしのための行為ではないのか)、自分が隠者のような生活に少しづつ順化していることを感じる。 いま、唯一残った横浜トリエンナーレのための作品を作っている。戦時中の千人針を主題にしたダゲレオタイプ・シリーズ、そして映像の二つの柱で、他者の苦しみの記憶への、それぞれモニュメンタルなアプローチ、非モニュメンタルなアプローチが拮抗する展示空間になるだろう。 ダゲレオタイプは神保町の戦争ものの古物を扱う店で仕入れた千人針を、一針ずつ、1000枚の小さな銀板に直接撮影している。なぜわざわざそんな苦労を、と自問しながらも、玉結びを四倍のマクロレンズで覗き込むとファインダー越しの視界に圧倒される。きつく結ばれた握りこぶしのような結び目、いまにも抜けてしまいそうな頼りないもの、何重にも絡まって奇天烈なこぶのようなもの──千人の女たち(もっとも寅年生まれの人は年齢の数だけ縫えたそうなので、実際の人数はわからない)生々しい息づかいと個別性に、膨大で単調な作業であっても飽きることはない。

2011年の震災後アーティストの竹田信平君と、「モニュメント」(新井)と「アンチ・モニュメント」(竹田)をめぐる対談をおよそ隔年でつづけている。 コロナ禍のため、滞在中のティファナからデュッセルドルフの自宅に帰れなくなった竹田君の提案で、ヴァーチャル対談を試みることになった。 ※発言が更新されるたびこのブログに転載していきますが、リアルタイムの対談は竹田君のフォーラムから確認ください:http://www.shinpeitakeda.com/community/main-forum/monument-anti-monument/ === 竹田 Posted : 27/03/2020 6:24 am 2020年3月11日、トランプはヨーロッパからのアメリカへの旅行を禁止。3月18日その帝国は北のカナダの国境を3月20日には南の国境を閉じる。ウイルスは容赦なく国境を超えてくる。当事者から非当事者、その境界線は常に変動していることを忘れてはいけない。時と場所により、時間と空間により、境界線は急にでき、容赦なく当事者と非当事者の間を分ける。しかしこのウイルスによって全てが犠牲者になり得る、ある意味ですべての人間がある意味で、犠牲になっているわけだ。動けない、外にでれない、今まで良いとしか思われていなかった …いわゆるMOBILITY。動けるということ。移動できるという自由が犠牲になっている。そうある意味で、当事者と非当事者の間はますます離れてきている。その境界線は、開き、アメリカでは6ft、ドイツでは1.5mから2m、メキシコでは1m以上。。。この距離はますます深く重く我々の社会に沈みこむ。N95 マスクが足りない、PEPが足りない、新しいCORONAVIRUSの専門用語が、