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広島での撮影終了

千人針のための映像作品、広島での撮影が無事終了しました。炎天下出演やご協力、取材いただいた皆様、そしてほとんどすべてのご縁を運んでくださった演劇家の土屋時子さん、たいへんありがとうございました。 2回目となるサウンド・エンジニア山﨑巌さんと映像作家・中川周さんとの協働は学ぶことが多し。そして『オシラ鏡』主演の高山君が、今回は助監督として活躍してくれました。 ・土屋時子さんの本『ヒロシマの『河』 〔劇作家・土屋清の青春群像劇〕』(藤原書店、2019) ・朝日新聞広島版『「千人針」テーマ 被服支廠で撮影 新井卓さん』 ・中国新聞『被服支廠戦時の記憶 映像監督新井さんが撮影』 ・毎日新聞『支局長からの手紙 場所の持つ力/広島』

Kenji played a slit-drum over the sounds of Masaya’s ceramic making and my silver plates polishing. We are Ticklings. 橋本雅也君の粘土作りの音と私の銀板磨きの音に、藤井健司君がスリットドラムを合わせてくれました。自己隔離中もチクリンズは健在です。 チクリンズ/Ticklings : isolated session #4-B Masaya Hashimoto (Mortar and pestle) Kenji Fujii (Slit-drum) Takashi Arai (Silver-plate) Kenji Fujii · チクリンズ/Ticklings : isolated-session#4

なんだか顔がヒリヒリするので鏡を見たら、額から頬にかけて軽い炎症がひろがって所々皮膚が剥けている。はじめダゲレオタイプの薬品のせいかと思ったが、どうやら原因はフラッシュ・ライトの閃光だったらしい。千人針の縫い目ひとつを四倍のマクロレンズで撮影しているので、ただでさえ感度の低いダゲレオタイプに露出倍数がかかり至近距離から1キロワットの照明を何発も焚く必要がある。自然とカメラのそばに顔を近づける格好になるので、顔の上半分がフラッシュ・ライトで火傷しまったらしい。念のため視野の外側やカメラをアルミフォイルでガードしているのだが、昨日は焦げ臭いと思ったらフォイルをとめていたテープから小さな炎が上がっていた。きれいな青い火で現実味がなく

千人針

パンデミックの影響で、4月以降の展覧会や講演がすべて延期かキャンセルになってしまった。「自粛」のため親しい友だちにも会えない暮らしはさみしいが(それにしてもなぜ「自粛」なのか?自粛はふつう、なにか罪滅ぼしのための行為ではないのか)、自分が隠者のような生活に少しづつ順化していることを感じる。 いま、唯一残った横浜トリエンナーレのための作品を作っている。戦時中の千人針を主題にしたダゲレオタイプ・シリーズ、そして映像の二つの柱で、他者の苦しみの記憶への、それぞれモニュメンタルなアプローチ、非モニュメンタルなアプローチが拮抗する展示空間になるだろう。 ダゲレオタイプは神保町の戦争ものの古物を扱う店で仕入れた千人針を、一針ずつ、1000枚の小さな銀板に直接撮影している。なぜわざわざそんな苦労を、と自問しながらも、玉結びを四倍のマクロレンズで覗き込むとファインダー越しの視界に圧倒される。きつく結ばれた握りこぶしのような結び目、いまにも抜けてしまいそうな頼りないもの、何重にも絡まって奇天烈なこぶのようなもの──千人の女たち(もっとも寅年生まれの人は年齢の数だけ縫えたそうなので、実際の人数はわからない)生々しい息づかいと個別性に、膨大で単調な作業であっても飽きることはない。