連載/続「百の太陽を探して」#11
百の太陽を探して 北アメリカ(十二)カボチャの名前/後編 新井卓 (丸木美術館学芸員・岡村幸宣さんの同人誌『小さな雑誌』No.87掲載原稿より転載)、加筆修正箇所あり(2019/11/21) 2014年11月7日、映画『49パンプキンズ』(※)「爆撃」シーンの撮影のためテキサス州サンアントニオから、ジョージタウンへ車を走らせる。バンの助手席では、撮影クルーのエリックがなにやら朝食の算段をしている。薄暮時に全天を覆っていた雨雲は、日が昇るにつれ、地平線の彼方にくっきりとした境界線を引きながら、薄曇りの空へと置き換えられていく。 まだ明け方の冷えが残る町営飛行場で、<デビルドッグ中隊>のメンバーがB25重爆撃機・通称<デビルドッグ>に給油を始めるところだった。1時間弱の飛行で、エンジンオイルとガソリンにおよそ二千ドルがかかる。それでも私たちはこの燃料代を負担するだけ