November 2019

橋本雅也の彫刻を見るとき、わたしたちは花を見てはいない。わたしたちの眼は削り出された組織/tissue、鹿の生命がたゆみない異化と同化作用を繰り返して結晶させた織物/tissu、その内部に晒されている。それは鹿たちの、わたしたちの肉体の隅々に隠された形態、手触りと質量のあらわれであり、物質と生命の不確かな境界面(インターフェース)のあらわれにほかならない。 (橋本雅也「間なるもの-霧のあと-」展、ロンドンギャラリー、11月16日訪問。)