June 2020

You are browsing the site archives for June 2020.

横正機業場訪問@新潟県五泉市

千人針の映像の最後の撮影のためサウンド・エンジニアの山﨑さんと新潟県は五泉市、横正機業場を訪問しました。 明治33年(1900年)からつづく伝統を守り、現在は5代目になる横野さん兄弟が経営する絹織物工場。鉄と木で作られた機械が立てる

千人針の五銭硬貨 / 5 sen coin sewed on a Sen-nin Bari (bellyband with 1000 stitches)

千人針に縫い付けられた5銭硬貨、「死線(シセン)をこえる」の意。このほか兵士を守るとされる女性の陰毛を縫い込んだ千人針や、戦場で渇きに苦しんだとき口に含んでその場を凌ぐため、梅酢に漬け込まれた千人針のオーラル・ヒストリーがある。 おおむね日露戦争くらいまで記録をさかのぼることのできる千人針習俗は、初期においては当局から非難される秘められた営みだったのが(千人針の祈りは最初期には徴兵忌避、その後「無事に帰還すること」に変容した。太平洋戦争後期の総力戦体制下ではひるがえって、〈銃後〉の結束を高めるため国家が推奨する活動となり、国防婦人会などを通して大量生産されるようになる。 ミクロ・レベルのナラティヴ/小さな祈り・善意/極小のマイクロモニュメントと、マクロ・レベルのナラティヴ/倫理規範/大規模モニュメントはいつでも対置されるわけではなく、連続するグラデーションの中に分かちがたく点在する。

広島での撮影終了

千人針のための映像作品、広島での撮影が無事終了しました。炎天下出演やご協力、取材いただいた皆様、そしてほとんどすべてのご縁を運んでくださった演劇家の土屋時子さん、たいへんありがとうございました。 2回目となるサウンド・エンジニア山﨑巌さんと映像作家・中川周さんとの協働は学ぶことが多し。そして『オシラ鏡』主演の高山君が、今回は助監督として活躍してくれました。 ・土屋時子さんの本『ヒロシマの『河』 〔劇作家・土屋清の青春群像劇〕』(藤原書店、2019) ・朝日新聞広島版『「千人針」テーマ 被服支廠で撮影 新井卓さん』 ・中国新聞『被服支廠戦時の記憶 映像監督新井さんが撮影』 ・毎日新聞『支局長からの手紙 場所の持つ力/広島』