July 2020

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横浜トリエンナーレ2020「AFTERGLOW」が始まりました

17日、横浜トリエンナーレ2020「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」が開幕しました。この状況下で事故なく芸術祭が開いたこと、会場に並んだ作品たちを前に、普段の展覧会であまり感じることのない感慨を覚えました。 私の作品は美術館のエスカレーターを上がったところ、竹村京さんの作品と共鳴する空間で展示されています。今回は千人針を主題にした作品です。総合キュレーターのラクス・メディア・コレクティヴの「ソースの共有」に倣って本ブログにリサーチ・ノートをアップしました。 入場には事前予約が必要です。10月までの会期中、無理のないタイミングでぜひ来場ください。

リサーチ・ノート:千羽鶴・千人針 新井卓 (1) 戦争や災害にまつわる場所に捧げられ、病気の快癒や長寿を願って個人に贈られる千羽鶴の習俗は、太平洋戦争後、広島の原爆被害によって亡くなった少女、佐々木禎子から広まったとされる。1954年8月6日、2歳で被ばくした禎子は十年後の昭和30年(1955)に白血病が判明、広島赤十字病院に入院する。入院中、見舞客や入院患者に、折り鶴を千羽折れば元気になると教えられ、禎子も折り始めたという(2)。はじめ〈当事者〉である禎子が自身の延命を願って折った千羽鶴は、禎子の物語とともに国内外に広く知られるようになり(3)、いつしか〈非当事者〉が〈当事者〉へ捧げる記念物、国民的習俗として定着するに至った。現在、禎子をモデルに作られた広島平和記念公園の「原爆の子の像」には、国内外から年間約1,000万羽、重さにして10トン以上の折り鶴が届けられるという。(4) 民俗学者のジャック・サンティーノは、人々が感情に衝き動か