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Daily D-type: 16 Feb 2021, Ume Blossoms at Sunset, Kawasaki

2021年2月16日, 日没近くの梅, 川崎 フレンスブルグの友だちのすすめで、見も知らぬトルコ人の占星術師に星を読んでもらう。断続的な停電がおきるらしくひどく接続の悪いイスタンブールから、圧縮音声のノイズを越えてきれぎれの言葉がとどく。パソコンの画面には彼女の笑顔がかれこれ数分も凍りついているので、早口で語られる星の巡りに、吉相か、それとも凶相を見いだすべきか戸惑ってしまう。 科学はもう魔術と見分けがつかない。

赤坂憲雄/藤原辰史・著『言葉をもみほぐす』(新井卓・写真)

  民族学者・赤坂憲雄さんと歴史学者・藤原辰史さんによる往復書簡、岩波『図書』での連載が単行本になりました。 赤坂憲雄/藤原辰史・著『言葉をもみほぐす』(岩波書店) 民俗学・歴史学という各々の専門分野からの越境を厭わず、知力をふり絞り、引き裂かれながら現実に向き合う二人。同時代を生きてあることの歓びを感じながら、言葉を揉(も)み、解(ほぐ)し、思索を交わした、二〇一九年から二〇年にかけての往復書簡を、銀板写真(ダゲレオタイプ)とともに書籍化。この期に及んでなおも言葉の力を信じて。 一昨年だったか岩波編集部の渡部さんから、この穏やかに見えてその実おそるべき闘いの場のため拙作をいくつか提供してほしい、と言われ戦慄したことが、はるか昔のことに感じられる。二人のまぶしい知性の間を行き来する書簡を一つまた一つとひもとくうちに私生活は破壊的に変わり、呆然とするいとまもなく、世界はパンデミックの脅威に覆い尽くされていた。ウイルスがどのように生まれたかに関わらず、それはあくまで自然の一部である。そして人間に無関心な自然に翻弄され浮かび上がる諸々の現実はわたしたちの本性にほかならず、そこにはいつも歴史に見いだされる共通の人間のかたちがある。 闘いの形は変化している、と二人は言う。その闘いは個々人の身体と言葉を通して土壌につながっており、撤退と敗北の時代に、わたしたち亡きあとの希望を身ごもっている。

寄稿:『日本オーラル・ヒストリー研究』第16号

2019年9月8日、日本オーラル・ヒストリー学会(JOHA)で発表した内容が学会誌に掲載されました。 19〜20世紀前期肖像写真史についての簡略な紹介と肖像写真におけるエコノミーの原理、ナンシーの記憶の分有について、アウグスト・ザンダーとジョナサン・トーゴヴニクに見る脱コンテクスト化された肖像の可能性、拙作「明日の歴史」(10代の肖像シリーズ)についてなど。 ※刺激的なご縁をいただいた根本雅也さん(社会学者/松山大学准教授)、たいへんありがとうございました。 – 新井卓, 肖像写真略史と今日の実践 ― 他者の記憶の〈分有〉のために, 『日本オーラル・ヒストリー研究』(16), 日本オーラルヒストリー学会, 2020. ARAI Takashi, A Brief History of Portrait Photography and Today’s Practice: For the Partage of Others’ Memories, Japan Oral History Review (16), Japan Oral History Association, 2020